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父親の仕事の都合で何度も転校した。中学3年の時、東京の青梅(おうめ)に 住んでいた。当時通っていた中学校は、周りを緑に囲まれたとても素晴らしい場所にあった。快晴で、爽やかな微風が心地よい5月の 昼休み、私は一人で校舎から離れた芝生の上に寝ころびながら、ぼんやりと空を見上げていた。その時だった。フワリ、フワリと 一頭の白い蝶が目の前を通り過ぎた。蝶の採集を趣味としていた私は、とっさにその蝶を捕えた。あっけないほど容易に捕らえることが できた。 その蝶の羽は、丸みを帯びた乾いた半透明で、意外なことに鱗粉が全く手につかなかった。図鑑で記憶のあるウスバシロチョウ だろう、と見当はついたが、それにしてもこんなにゆっくり飛ぶ蝶だとは思わなかった。 その後、都下の御岳(みたけ)駅近くの新緑溢れる空き地や、高尾山のふもとのネギボウズの薄紫の花が風にゆらめく 畑など、何度か出逢った。いつ見ても手づかみできるほどゆっくりした飛翔だった。新緑と爽やかな微風がとても似合う、優雅、と いう言葉がぴったりの蝶だ。(2019年4月記)