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東京での高校時代、本種を採集しに高尾山までぶらりと 出かけたことがあった。当時(1970年)の生息は疑わしかったが、過去に記録があり、「もしかしたら出会えるかもしれない。」 との期待感だけで出かけた。 京王線の高尾山口駅で降り、山頂目指して歩き始めた。晴天無風で桜が満開だった。大勢の行楽客から離れ、誰もいない 細い山道を歩いた。午前中探したが、徒労に終わった。 その後何度か、本種との出会いを求めて、記録のある東京近郊を数か所訪れたが、無駄だった。多少残念な気持ちはあったものの、 春の温かい日差しを浴びながら、まだ地面に枯葉の多く残る新録の中、かすかな期待とともに一人のんびりと野原を散策し、 忘れがたい時間を過ごすことができた喜びの方が大きかった。(2019年4月記)