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上段オス、下段メス
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本種は南方系のアゲハで、横浜より西に住んだことのない自分には 縁のない蝶だった。社会人になり、定山渓(じょうざんけい)で知り合った和歌山の方から採集品を送っていただき、初めて 実物と出会った。その後、家内の実家の鹿児島を訪れ、飛翔中の本種と出会うことができた。 じりじりと暑い夏の昼下がり、手ぶらで付近の砂利道を散策していた。家々の周りには2,3メートルの常緑樹が鬱蒼と 立ち並んでいた。住宅街の道とはいうものの、誰もいない山道を歩いている気がした。ふと、視線を上に向けると、大きな 黒い蝶がゆっくりとこちらに向かって飛んできた。翅を動かさずに滑降するように見えた。ちょうど頭上を通り過ぎるとき、 はっきりとメスのナガサキアゲハ特有の白い斑紋が確認できた。その蝶は、ゆっくりと頭上を通り過ぎるとき、「おじさん、 こんにちは。」と話しかけてきたような気がした。忘れがたい思い出を残して、彼女は近くの墓場の方へふんわり飛んで いった。夢の中にいるような心地だった。 (2019年4月記)