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1991年5月初めの快晴の日、旭川市郊外の神居古潭(かむいこたん)まで車で 出かけた。ヒメギフチョウとの出会いを期待していた。札幌から国道12号線をのんびりと走った。神居古潭のトンネルを 抜けると、すぐに駐車場があったので車を止め、細い山道を適当に選びゆっくりと登っていった。国道のすぐ近くなので、 ヒグマの恐怖は感じなかったが、念のため持参した熊よけの鈴を鳴らし、周囲を気にしながら歩いた。人の気配は 全くなかった。山道に沿って流れる小川には、青いエゾエンゴサクや黄色いリュウキンカが、 山道の両側には、薄紅色のエゾヤマザクラや純白のコブシが、互いに競い合うように咲き乱れていた。地面には薄緑色の フキノトウがあちらこちらに芽を出していた。30分ほど歩いたころ、晴天無風の中、忘れることのできない印象的な光景に 出会った。2、3メートルほど先の丁度目の高さのところを、何頭ものヒメギフチョウの群れが、黄色と黒の コントラストも鮮やかに、山道の左側から突然現れ、列を作って流れるように右側へ姿を消していった。その後は 何事もなかったかのように、せせらぎの音がかすかに聞こえ、春の温かい陽射しがあたり一面にふりそそいでいた。(2019年4月記)