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本種との出会いは全く思いがけないものだった。 戦前には3頭しか採集されていない大珍品で、自分には全く縁のない蝶、と憧れすら抱いていなかった。 社会人になり、札幌に住み始めてオオイチモンジの採集で丸瀬布(まるせっぷ)町を何度か訪れた。 そして、1993年に本種を初採集した。その時の状況は今でもはっきりと覚えている。湯ノ沢林道を 歩き始めて10分ほど経ったところの右手に、今にも倒れそうな廃屋があった。これまではオオイチモンジ しか頭になく、この廃屋は足早に通り過ぎていた。どことなく不気味な雰囲気だった。今回は なぜかそんな気にならず、廃屋の奥を少し見てみよう、という気になった。裏手にまわると 狭い空地に3メートルほどのこんもりとした木があった。そのちょうど目の高さほどの葉陰から、チラチラと 一頭の小さな蝶が飛び出した。考える間もなく採集した。それが本種だった。うれしさと驚きで 飛び上がりそうになった。オオイチモンジのことはすっかり忘れ、一時間ほど周辺を探し、 8頭採集した。興奮した気持ちが落ち着くと、すぐ近くの廃屋が気になりだした。誰かにみられ ているようで気味悪くなり、急いでその場を離れた。(2019年4月記)