マイ昆虫記録館>鱗翅目>シロチョウ科
上段オス、下段メス 採集データ:共通
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本種はごく普通の蝶で、草原を元気よく 飛び回っている蝶は大体本種のことが多い。出会って感動することなどまずないのだが、一度だけ 感動したことがある。 学生時代、両親の住む岩手県釜石市で夏休みを過ごしたことがあった。市の中心から少し 外れに社宅があり、近くを甲子(かっし)川がゆったりと流れていた。陽が傾きかけて夕暮れに さしかかるころ、涼を求めて川の堤防を散策した。暑さもゆるみ川の上流から涼しい風が 吹いていた。頭上をカラスの大群がカァー、カァーと鳴きながら飛んで行った。堤防には くるぶしほどの雑草が上流から下流に見渡す限り生えていた。そこに無数の本種が群がって いた。これまで見たことのない大群だった。普段見慣れている活発な飛翔は影を潜め、ゆっくりと 飛んでいた。川面に夕焼けの赤い光が、さざなみに揺れながら少しずつ赤みを増していった。 ゆったりと流れる川の流れのように、夢のような時間が過ぎていった。(2019年5月記)