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本種の表面は、これまで採集した ヒョウモン類の中でももっとも橙色が鮮やかで、採集時の印象は強く記憶に残っている。 以下そのときの様子をご紹介します。 1988年の夏、国道12号線を札幌の自宅から旭川方面へドライブした。採集を兼ねたドライブだった。 砂川から芦別に抜ける道道の標識が目に入り、この道路のどこか適当な場所で採集しよう、と 思い立った。整備された道路をしばらく行くと、街並みが次第にまばらになり、草原に代わり、 そのうち人家もなくなり、樹木の多い砂利道となった。さらに進むと、右手にこじんまりした 駐車場があった。右手は草の生えた崖で、左手は下方に鬱蒼と茂る雑木林だった。 駐車場に車はなく通り過ぎる車もなかった。左手の少し先に細い林道が見えた。 「ここで採集するか。」と駐車場に車を止め、林道に向かって歩き出した。少しはヒグマの 恐怖を感じてもよさそうだが、この時は何故か全く恐怖を感じなかった。 林道を5分ほど歩いたところに小川が流れていて、橋を渡ったすぐ先の右手に広い池があった。 前方には大きく開かれた広場があった。丁寧に草が刈り取られ、奥の方に東屋が見えた。 誰もいなかった。東屋で少し休憩し、補虫網を手に周囲を散策した。広場と雑木林の境目には 橙色や黄色の小さな花がたくさん咲いていた。そこに、さっそうと小型のヒョウモンが 舞い降り、蜜を吸い始めた。開いた翅の明るい橙色が美しく、これまでに出会った どのヒョウモンよりも鮮やかに見えた。しばらく眺めていると、次から次とやってきて花に群がった。 「うーん、きれいだな。何というヒョウモンかな。」と思いつつ数頭採集し、 その後はまた花に群がる様子をしばらく眺めていた。帰宅後、本種であることを確認した。(2019年5月記)