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小学時代に愛読した保育社の「原色 日本蝶類図鑑(江崎悌三校閲・横山光男著)」の2ページ目に「エゾアカボシウスバシロチョウ」 という蝶が記載されていた。その参考写真として、朝鮮産のアカボシウスバシロチョウが掲載 されていた。説明文には、北海道トムラウシ岳で1936年6月20日に3頭採集され、 その後は採集されていない、とあった。また近縁の「オオアカボシウスバシロチョウ」も 1935年7月に十勝岳で採集され、この種もその後は採集されていない、とあった。 これらの種が、迷蝶などを記載する増補版ではなく、ウスバシロチョウ、ヒメウスバシロチョウ、 ウスバキチョウの次に、国内に生息する種として記載されていたため、当時は子供心に 「すごい珍蝶だな。北海道で採集したら大ニュースだな。」とワクワクしたものだった。 その後、この記録は誤りだったということになり、今では日本産としてはどの蝶類図鑑にも記載されていない。 だが、子供心に根付いた憧れは、そうたやすく消え去るものではない。誤りと 知った後も、「もしかしたら、北海道のどこかにひっそりと生息しているのでは。」と 限りなく望み薄の期待を抱き続けていた。採集し、無上の喜びに浸っている夢を何度も見た。 さすがに社会人になってからは、そんな妄想を抱くこともなくなった。ただ、これらの種類への 憧れは残ったままだった。その後知人の方から、モンゴルで採集した本種を頂くことができた。 「これがあのオオアカボシウスバシロチョウか。」としばし感慨にふけった。(2019年6月記)