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採集データ:共通
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家族で赤井川村のキロロリゾートを車で訪れる機会があった。あ 目的はそこで開催される「タケノコ取り放題」という行事に参加するためだった。 9時過ぎに札幌の自宅を出発し、およそ2時間程で到着した。晴天で風もなく絶好の行楽日和だった。 だが、当行事の案内が全くなく、人も少ないので「おかしいな。開催日をまちがえたかな。」と 不安になった。ホテルのフロントで尋ねると、「今朝、開催場所でクマのフンが見つかり、 中止になりました。再開の日取りは決まっていません。」とのことだった。家族4人とてもがっかりした。 私は、以前小樽のキャンプ場で摘み取ったタケノコ(ネマガリダケ)の天ぷらの味が忘れられず、「よーし、 今日はリュックサック一杯にタケノコをとるぞ。」と大張切りだったので落胆した。ここまで来て そのまま札幌に帰るのも惜しい。天気もよいし、ドライブ日よりと割り切ってキロロリゾートを後にして 仁木町、俱知安町経由で帰宅することにした。 途中のパーキングエリアで休憩することになった。近くに川が流れ、川沿いに細い未舗装道路が遠方まで 続いていた。風が少し吹き始め、土煙が舞うようになった。「何か変わった虫でもいないかな。あまり いそうもないな。」とあまり期待せずに採集道具を持って上流に歩いて行った。左手に幅5メートル程の川が流れ、右手に雑木林が 延々と上流に伸びていた。雑木林の間から田畑が見え隠れしていた。 20分程歩いたところに枯れ木が数本倒れている場所があった。いかにもカミキリムシが いそうな場所だった。期待して近寄り、じっくり見て回った。何もいなかった。「やはりダメか。」と その場を離れてパーキングエリアに引き返そうとした時、丁度目の高さほどのところの茂みに 見慣れない虫が止まっていた。「何だろう。」甲虫なのは確かだが、種類がさっぱり分からなかった。 巨大なコメツキムシに見えた。とりあえず収穫があったことで嬉しくなった。毒ビンに 入れてじっくり眺めたが見当がつかなかった。正直、カミキリムシには見えなかった。ただ、 見ようによってはトラカミキリの仲間と感じられる雰囲気はあった。しかし、これまでの 乏しいカミキリ採集歴では、トラカミキリと言えばキスジトラ、シロトラ、エグリトラ、少し珍しい ところではシロヘリトラくらいしか思い浮かばず、それらと比べてあまりにもガッシリして大きいので 「いや、違うな。」と否定せざるを得なかった。その場を離れ、近辺をぶらぶら歩いてもう一度 同じ場所に戻ったところ、驚いたことに全く同じ状況でもう一頭同じ虫が止まっていた。 こちらを睨んでいるような止まり方も同じだった。この一頭も採集した。「夫婦だったのかな。」と 少し気まずい思いをしたものの採ってしまったものは仕方がない。その後は何もいなかった。 自宅に戻り図鑑で調べたところ、本種と分かった。図鑑の写真ではとても地味で小さな虫に見えたが、 実物はとてもガッシリしていて大きく、前胸の少し黄色を帯びた白紋が黒い地色にとてもよく映え、 重厚感があった。素晴らしいカミキリムシだと思った。(2008年4月記)