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過去に採集した10頭ほどのアカハナカミキリを漠然と 眺めている時、首の黒い一頭にオヤッと思った。アカハナカミキリに首の黒い個体が出現することは 知っていた。だが改めてこの個体をみると何か雰囲気が違う。鞘翅の先が尖らない点や触角がノコギリ状に なっていない点など、どうも別種のような気がしてきた。再調査し、本種と分かった。本種については、 カミキリムシを採集し始めた頃に何かの本で読んだ「ハナカミキリの王者のような貫禄」との記述をぼんやり覚えて いる程度だった。かすかに憧れてはいたものの、まだまだ自分には不相応な虫だな、とあまり意識していなかった。 当個体の大きさは2センチで、アカハナカミキリの他の標本とあまり変わらない。おそらく採集時に、 「アカハナか。カミキリの採集シーズンもそろそろ終わりだな。」とアカハナカミキリと思い込んでいたのだろう。 憧れのカミキリムシが、実は14年前に採集済みだった、というまことにお粗末なお話でした。(2010年10月記)